Monte Acuro〜インタビュー編〜

コラム担当プロフィール
中石真由子
一般社団法人日本ビオホテル協会(BHJ)理事、オーガニックアドバイザー。
長年、不動産業界に在籍し、2008年のリーマンショックをきっかけに、オーガニックの世界へ転向。
2013年にBHJを立ち上げ、BIO=オーガニックでサスティナブルなライフスタイルを日本に普及させるための活動を展開中。
BIO HOTELS JAPAN

前回に引き続き、Monte Acuro(モンテアクロ)をご紹介。
今回はボデガス・デル・メディエボ社のLorena Ruiz(ロレーナ ルイズ)さんに、スペシャルインタビューを行いました!

日本の皆さんに、モンテアクロオーガニックワインのさらなる特徴を教えてください。

皆さま、はじめまして。
私たちのモンテアクロオーガニックワインをさらに知っていただきたいとご説明させていただきます。

若い白ワイン(Young White)は、ビウラという品種のブドウからできています。
ビウラは非常に多く実を付ける品種なので、通常通りに育てると酸味は豊かですが、平坦な味わいになってしまいます。
そこで、私たちは、この品種の育て方を工夫して、実を付け過ぎないようにしました。

リオハでは、通常、1ha(ヘクタール)あたり 9,000kgの収穫(9,000kg/1haでも、他の地域に比べて非常に少ないのですが)、なんと3分の1の3,000kg/1haの収穫に抑えています。
その結果、非常に豊潤でしっかりとしたボディでありながら、長く柔らかな味わいが続き、香りがよく、さらにクリーンでフレッシュなワインを造ることができました。

若い方の赤ワイン(Young Red)は、テンプラニーリョ(※リオハ、ナバーラ産のブドウ品種)を100 %使用して作られています。
このブドウは、スペインの典型的な赤ワインに使われる品種(※スペイン最高の赤ワイン用品種)です。
私たちはこのワインを、ほかの若いオーガニックリオハワインと差別化し、こだわって造っています。
リオハワインをお求めになる方々は、熟成ワイン(樽熟成されたワイン)を思い浮かべられるので、私たちのワインは、若いものでも2、3か月間アメリカ産の樽で熟成させるようにしています。
これがほかの若いオーガニックリオハワインとの違いです。
ですから、初めてお客様にこのワインをご紹介する際、アメリカ産の樽特有のバニラの樽香から、リオハワインとご認識いただけるかと思います。
テンプラニーリョ独特のリコリス(甘草)と果実の香りがメインではありますが、熟成された香りも感じられるワインです。

レセルバオーガニック(Aged Red)は、若い方の赤ワイン同様、テンプラニーリョのみで、こちらは長期間熟成させて造ります。
オーガニックワインは、亜硫酸の数値を低くするため、オーガニックでない通常のワインより、熟成が早くなります。
このワインは、代表的なリオハレセルバ(優良長期熟成ワイン)として認識されており、チョコレートやヘーゼルナッツの非常にエレガントな香りが感じられます。
ブランド名を隠して試飲すると、すぐにこれが高品質なリオハレセルバだとわかります。
もしかしたら、グランレセルバ(※レセルバの上の最高級熟成ワイン)だと思うかもしれません。

ラベルが印象的です。デザインの理由を教えてください。
なぜ、私たちが植物の写真をラベルに採用するかというと、オーガニックワインにとって、「自然」が最も重要だと考えているからです。
熟成のサイクルが長ければ長いほど、ポリフェノールがどんどん増えていくため、私たちの畑がある乾燥地帯では、水分量を多く含む土や粘土が非常に重要となり、この土壌のおかけでエレガントなワインを造ることができるのです。
テンプラニーリョのラベルで表現されているように、この土壌の表面に砂利交じりの土を合わせることで、酸味のバランスがとれたミネラルが感じられるワインが出来上がります。
テンプラニーリョ レセルバの樹幹の写真は、ワイン畑を一から自分たちの手で作り上げたことを示しています。
ビウラの葉の写真は、ワイン畑の中で、白ワインをイメージしやすい色合いなので、選びました。
どんな方が醸造していますか?

創設者の一人であり、醸造責任者をご紹介します。
氏名:サンティアゴ・ガルデ(Santiago Garde)
農産食品・食糧産業の学位取得後、ナバーラのワイナリーでインターンを行い、醸造家としてのキャリアをスタート。
インターン終了後の 1995年、アルデアヌエバ・デ・エブロ(リオハ)の共同組合、Viñedos de Aldeanueva S. Coop. に醸造家として採用。
採用試験のエピソードがあります。
多くの醸造家(及び醸造家の卵)が参加し、試験の一部として協同組合が準備した数種類のワインのテイスティングを行う方式です。
その中に、ひっかけ問題として、非常に品質の悪いワインが含まれていました。
参加者の中には、協同組合で造られたワインを悪く言うわけにはいかないと考え、その品質の悪さに言及することなく、適当にごまかす者もいました。
しかし、サンティアゴは、「このワインは品質が悪すぎて、コメントのしようがない」とはっきりと指摘。
結果、醸造家に必要な知識に加え、ワインに実直に向き合う姿勢を評価され、採用されることになったそうです。

採用からわずか2年で、サンティアゴは協同組合の醸造責任者に任命。
それから約5年間、責任者としてワイン造りを行いながら、ラ・リオハ大学でブドウ栽培・醸造学を学び、学位を取得しました。
その後も、醸造家として必要な知識を深めるため、各地で様々な研修を受けます。

2002年、Bodegas del Medievo S.L.(Bodegas Monte Acuro) 設立。
創設者の一人であり、醸造責任者。

ワイナリーの設立に際し、白ワインの醸造にも力を入れるため、最新設備を導入。
ビウラなどの土着品種、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランなどの国際品種、それぞれの特徴を活かしたワイン造りに取り組みます。
現職に就いてからも、ラ・リオハ大学やラ・リオハ農業研究センターなどの研究プロジェクトに積極的に参加し、最新の技術を使った白ワインの醸造なども研究中。
1997年から、リオハ原産地呼称統制委員会のテイスティング委員、また、リオハを始め近隣地域のワイナリーや協同組合のアドバイザーも務めています。

前回のコラムをお読みになる方はこちらからどうぞ。

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